商品説明
悲しみに親しむ心 対人援助のまなざし
大築明生
木立の文庫
”自分を見つめアドバイスしてくれる「もうひとりの自分」を育てるために”
カウンセラーとしての長年の経験を元に、心の悩みをどう受け止め、その状態や場面ごとに、どう向き合えばいいのか丁寧に解説した実践的な内容です。心理相談、対人援助職に留まらず、悩みを抱えたすべての人の支えになる1冊です。
ーーー木立の文庫紹介文ーーー
人の話を聴いてふと心を動かされる時、どこか“切なさ”を伴った“親しみ”のようなものを感じることはないでしょうか? それが「悲しみ」の感覚だとして、著者はその「悲しみ」こそが、人と人がつながる要と考えます。
本書は、心理相談はじめ全ての対人援助職が、日々の営みのなか保っておきたい感覚を、現実の「困りごと」場面ごとに呼び覚ましてくれます。
――領域横断型の「臨床心理」オールマイティ手引書。骨子としては、タテ糸:深層心理学/ヨコ糸:ロジャーズ人間観で織られた、誰もが親しめる入門書です。
目次
序 章 生きることに悩んだとき
困難のなかで見えてくるもの
求められる援助の姿勢
第一章 人の成長と回復を支えるもの
「自分」の多層性
悩む自分
もうひとりの自分
第二章 人を支える対話――聴いて理解する
安心の関係は出会いから
相談を受けるときの二つの姿勢
苦しみや悲しみを抱える人が求めるもの
聴いてもらっている手応え
安全な関係とは
否定的な感情への対応
心の相談の流れ
聴く力をつけるために
第三章 症状やストレスへのまなざし
症状への理解
症状の回復へのまなざし
身体症状の理解と回復
問題行動の理解と回復
精神症状の理解と回復――特に働く人のうつを巡って
第四章 トラウマからの回復
トラウマ(心の傷)とは
PTSDの主要症状と種類
トラウマからの回復
聴き手の重要性
語る先に見えるもの
終 章 生きる安心を得るために――そのままのあなたで大丈夫
前書きなど
……そしてわかってきたことは、問題解決のスッキリを求めるのではなく、生きる“不安”や“悲しみ”の重みを腹で静かに感じながら日々を過ごすと、心身が柔軟になり、楽になるということです。めざすのは、自分が楽になることであり、生きる“安心”を得ることです。――私が学んできた「楽になるための道筋」をお伝えしたくて、この本を書きました。〔本書「おわりに」より〕
著者から一言
私たちが真剣に自分を見つめるのは、苦しいときです。「どう生きたらよいか」などという容易に答えが見つからない問いは、苦しくなければ考えません。本当に苦しく危機だからこそ、私たちは謙虚になり真剣になり、本当の安心を求めようとするのです。――私は、自分の限界を認め、「何ともならない」という事実を認めるのは、とても勇気あることだと思います。……
著者からもう一言
……私は、自分の限界を認め、「何ともならない」という事実を認めるのは、とても勇気あることだと思います。――それは、自分のいのちを守り家族の生活を守るための第一歩です。それなしに、生きていくための一歩は踏み出せないでしょう。私は、「限界を認めたうえで“生きる内実”を模索」しようとする人に対して、深い敬意を覚えます。
著者プロフィール
大築明生 (オオツキ アキオ) (著)
1951年、茨城県生まれ。公認心理師。
民間企業勤務を経て、36歳のときカウンセリングの世界に入る。
茨城カウンセリングセンターでカウンセラーとして活動し、同センターの副理事長を経て、2021年に退職。
在職中は、職場、家庭、人生、心身の不調等の相談に携わる。また、メンタルヘルスやカウンセリングに関する研修や講演、エンカウンター・グループのファシリテーター、大学や看護専門学校の非常勤講師などを担当する。
現在、複数の民間相談機関でカウンセリングを担当している。
著書(分担執筆)に次のようなものがある。
『パーソンセンタード・エンカウンターグループ』〔ナカニシヤ出版, 2005年〕、『パーソンセンタード・アプローチの挑戦』〔創元社, 2011年〕、『人間性心理学ハンドブック』〔創元社, 2012年〕、『エンカウンター・グループの新展開』〔木立の文庫, 2020年〕。
発行:木立の文庫
仕様:四六判変形 縦188mm 横118mm ハードカバー 224ページ
発売日:2023年10月2日