ケアしケアされ、生きていく

946円(税86円)

商品説明

ケアしケアされ、生きていく
竹端 寛
ちくまプリマー新書

他人に迷惑をかけていい!!

なぜ、子ども時代はのびのびしていたのに、その十数年後には「他人に迷惑をかけてはいけない」と縮こまってしまうのか。

抑圧的環境に「どうせ」「しゃあない」と諦めてしまう、「ケアレス」な日本社会について考察。どうすれば共に思い合うケア中心の社会となるのか、その可能性を模索した1冊です。

ーーー筑摩書房紹介文ーーー

ケアは「弱者のための特別な営み」ではない。あなたが今生きているのは赤ん坊の時から膨大な「お世話」=ケアを受けたから。身の回りのそこかしこにケアがある。

他人に迷惑をかけていい!!
ケアは弱者のための特別な営みではない。社会の抑圧や呪縛から抜けだして、自分のありのままを大切にするような、お互いがケアしケアされるそんな社会を目指そう!
 
<著者からひと言>
この本は、ケアから逃げてきた私が、ケアと出会い直すことによって見えてきた世界を、みなさんにも馴染みがある3つの視点から考えてきた本です。

1つめは20歳の大学生の世界です。私は大学生を20年近く定点観測してきました。その上で、今の学生が「他人に迷惑をかけてはいけない憲法」に縛られて、生きづらさを抱えているように思えます。それは一体どういうことなのか、を考えてみました。

2つめは6歳の子どもの世界です。私の娘は今、6歳なのですが、「迷惑をかけまくって」楽しく生きています。安心して迷惑をかけられる環境で、のびのび生きています。でも、ちゃんとしなさい、と叱り続けると、そのうち親や教師を忖度する大学生になるのではないか、と心配しています。

なぜ、のびのびした子どもが、その十数年後には「他人に迷惑をかけてはいけない」と縮こまる大学生になるのか?

その背景を考えるうえで、3つめの世界、「昭和98年的世界」を生きる48歳の私の世界を考えています。昭和が終わって30年以上経っても、日本社会の基本的なOSは昭和時代のままです。理不尽な労働環境でもがまんする、抑圧的環境に「どうせ」「しゃあない」と諦める。それが、女性の管理職や政治家比率が低く、イノベーションが生まれにくい「失われた30年」の背景にあると私は考えています。そして、この世界は「ケアレス」な世界です。

この閉塞感をこえるためには、日本社会がケア中心の社会に変われるか、が問われています。能力主義や男性中心主義の呪縛の外にある世界です。それは、共に思い合う関係性が重視されるし、そのためには自分自身の「唯一無二性」とも出会い直す必要があります。そんなの無理だよ!と理性の悲観主義に陥らず、ではどうやったらケア中心世界は可能なのか、について、できる一つの可能性を模索したのが、本書です。

中高生にも読んでもらえるよう、わかりやすい文体を目指しました。よかったら、読んでモヤモヤしてくださると、嬉しいです。
竹端寛

目次
 第一章 ケア? 自分には関係ないよ!
一 「迷惑をかけるな憲法」
他人に迷惑をかけてはならない/都合のいい子!?/大人から学んだ「いい子」
二 しんどいと言えない
意見を表明する権利/他人の顔色をうかがう/苦しいことと苦しみ
三 自分自身を取り戻す
ゼミで涙を流す学生/ペラペラしない他者/ about-ness からwith-nessへ
四 面倒な中に豊かさがある
ケア不在を超えるために/自分の魂に迷惑をかける?

第二章 ケアって何だろう?
一 確かに面倒なのだけれど
めっちゃ可愛く、めっちゃややこしい/存在をぶつける/意見表明の主体としての子ども/一方的にケアされる存在ではない!
二 自分へのケアと他人へのケア
子どもの「開かれ」/自分の人生へのリミッター/忖度の危機/作られた悪循環/偽解決を超えるために
三 他者へのケアの前に
支援か支配か?/関係性のダンス/同調圧力に異を唱える/誰へのケア?
四 互いが気にかけあう
自分へのケア/共に思いやること/ with-ness で生活を回す/何を見ようとしてこなかったのか

第三章 ケアが奪われている世界
一 ケアのないわたし
ケアレスとはなにか/同調圧力と「空気を読む」/自己責任とわきまえ/ケアレスな社会
二 「昭和九八年」的世界
労働ファースト/最も眠れていない国/頑張れば報われる、の呪い/前時代の大成功、ゆえに
三 標準化・規格化の「大成功」の陰で
昭和の成功を支えたもの/銀行型教育システムへの囚われ/「正解」幻想/昭和的価値観の限界
四 ケアの自己責任化を超えて
「発達」の「障害」?/置き去りにしてきたケア世界/自分が学んだことはこれなのか!/「ちゃんと」のリミッターを外す

第四章 生産性至上主義の社会からケア中心の社会へ
一 生産性とケア
誰のための、何のための効率?/男性中心主義の外にある世界/能力主義の呪縛/「生産離脱者」の排除
二 責任の共有化で楽になる
依存先を増やす/関係性に基づくケア/懲罰ではなくエンパワーする責任/切り分けるのではなく、分かち合う責任
三 共に思い合う関係性
中核的感情欲求と向き合う/生き様の理解と支援/迷惑をかけるな、より大切なもの/他者の他者性に気づくこと
四 ケア中心の社会へ
己の唯一無二性とも出会い直す/魂の脱植民地化/葛藤を共に味わい社会化する/できる一つの方法論

著者プロフィール

竹端寛(たけばた・ひろし):1975年京都市生まれ。兵庫県立大学環境人間学部准教授。専門は福祉社会学、社会福祉学。主著は『「当たり前」をひっくり返す―バザーリア・ニィリエ・フレイレが奏でた「革命」』、『権利擁護が支援を変えるーセルフアドボカシーから虐待防止まで』(共に現代書館)、『枠組み外しの旅ー「個性化」が変える福祉社会』(青灯社)、『家族は他人、じゃあどうする?』(現代書館)など。

発行:筑摩書房
仕様:新書版 208ページ
発売日:2023年10月6日

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