らせんの日々 作家、福祉に出会う

1,980円(税180円)

商品説明

らせんの日々 作家、福祉に出会う
安達茉莉子
社会福祉法人 南山城学園(取材協力)
ぼくみん出版会

ーーーぼくみん出版会紹介文ーーー

「福祉に従事することは、多かれ少なかれ、“らせん”のようなものである」

数十年に渡り福祉の道に従事してきたひとりの職員が、福祉と「支援」について書き残した一文である。

障害者支援や高齢者福祉など多様な分野の事業所を運営する社会福祉法人、南山城学園。そこで著者が出会ったのは、この社会がより生きやすいものになっていくためのヒントに溢れた、“最先端”の風景だった。

素朴だが、やさしく、やわらかい空間。
丁寧かつ創意工夫に満ちた、細やかな支援。
データをとり、その分析によって得られたエビデンスに基づいた取り組み。
日々の実践をふりかえって研究し、言葉にすることを重視する活動。
答えのない、複雑な事柄について話し合うことができる空気。
利用者の生きがいに寄り添い、そのひとの人生に思いを巡らせることのできる想像力。
支援しつづけるために支え合う、職員どうしのフラットな関係性。

ーーそれらの根底に流れ、職員全体に浸透する「人を大事にする」という意識。

自分を取り巻く暮らしを少しずつ変えていくことで幸福へと近づいていく自らの軌跡を描いたベストセラー『私の生活改善運動 THIS IS MY LFE』。その著者・安達茉莉子が次に描くのは、誰もが人間らしく生きることができる世界を目指す「福祉」の現場。上から見れば、堂々めぐりのように見え、横から眺めれば後退しているようにも見える。でも、踏み出した一歩によって、わずかに、高みへと上がっている。そんな“らせん”のような日々を、福祉の現場ではたらく職員の語りを通して描いたエッセイ。

目次
プロローグ ここは利用者さんたちが暮らす場所
第1章 クリエイティブな風景、丁寧な支援
第2章 福祉の現場で、自分を表現できた
第3章 その人の人生に思いを巡らせること
第4章 主体性を育てるあたらしい保育
第5章 変化に気づかなければ命にかかわる仕事
第6章 「誰でもできること」をプロフェッショナルに
第7章 知ろうとしないと、歩み寄ることもできない世界
第8章 地域交流から生まれるエンパワーメント
第9章 関係から降りないために
第10章 わからなさを大切に、複雑性と向き合う
エピローグ この道が永くつづくように

前書きなど
一枚の古い追悼文が残っている。少し黄ばんだ、A4のコピー用紙。二〇〇七年に社会福祉法人南山城学園で、職員向けに発行された広報誌だ。
昭和の時代から、数十年に渡り福祉の道に従事してきたひとりの職員が、五〇歳を前にして急逝した。その追悼文は、故人が過去に、福祉と「支援」について書いた文章を引用していた。

「上から見れば、堂々めぐりのように見え、横から眺めれば後退しているようにも見える。しかし、事実は、一歩一歩であろうとも、確実にせり上がってゆくもの、それが“らせん”である」

追悼文はこうつづく。

「福祉に従事することは、多かれ少なかれ、“らせん”のようなものである」と。

同じところをぐるぐると回っていて、自分が前に進んでいるのか後ろに進んでいるのかもわからない。答えのない日々。だけど、一歩一歩でも、少しずつ上昇していく。そんな言葉を遺した人がいて、ずっと覚えていた人がいる。

私が追悼文に出会ったのは、それから約二〇年後のことだった。

版元から一言
本書は「福祉」に今まで触れることがなかった作家・安達茉莉子さんが、障害者支援施設などの福祉事業所を取材し、また勤務する職員の語りに耳を傾けることを通して、はじめて福祉に出会い、驚き、これからの社会のヒントを得ていく本です。

『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』(三輪舎)や『毛布』(玄光社)などの著作は、個人的な事柄を中心に、幸せについて綴ったエッセイでした。そんな著者が今回、「福祉」をテーマにするのは意外に思われるかもしれません。しかし、「福祉」は英語にすればwelfare、つまり「〔心身の、また経済的な〕幸福」です。彼女がこれまでに書き綴ってきたテーマである「セルフケア」「自分らしく生きられる世界」の先には必然的に福祉があります。

福祉の現場を描いた本書は、親族の介護や子育ての機会に誰もが出会うことになるであろう読者にとって、福祉の入門書になることを期待することができます。そしてそれだけでなく、例えば会社勤めしている方や経営されている方にとっては、組織づくりや社内コミュニケーションのヒントにもなるでしょう。

著者プロフィール
安達 茉莉子 (アダチ マリコ) (著)
作家、文筆家。大分県日田市生まれ。防衛省勤務、限界集落での生活、英国大学院留学などを経て、言葉と絵による表現の世界へ。自己の解放、記憶、旅、セルフケアなど、「生」をテーマにした執筆をつづける。著書に『毛布 - あなたをくるんでくれるもの』(玄光社)、『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE 』(三輪舎)、『臆病者の自転車生活』(亜紀書房)、『世界に放りこまれた』(twililight)など。
Web : https://mariobooks.com/   X/Instagram : andmariobooks

発行:ぼくみん出版会
仕様:B6変形判 縦182mm 横110mm 厚さ15mm 雁垂れ 224ページ
発売日:2025年3月3日

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