商品説明
演じられるけど疲れる人の生存戦略
勅使川原真衣
大和書房
ーーー大和書房ーーー
「できるのに、疲れる」という人へ
「できるようなふるまいを演じる、そして疲れる」
この現象を"擬態"として捉え直し、
個人の生存戦略と組織の仕組みづくりの両面から、
疲れすぎないで生きる方法を提案する一冊。
仕事はできる。人にも合わせられる。なのになぜこんなに疲れるのか――演じ続ける人のための生存戦略実践法
明るく、前向きで、感じよく、主体的で、ほどよく自己開示し、ほどよく他者に関心を示す人間……誰だって多少は演じている。
職場の自分、家族の前の自分、友人の前の自分、ひとりでいるときの自分。それらは少しずつ違う。
だから、演じること自体が悪いわけではまったくない。
むしろ、場に応じて自分の出し方を調整することは、大人の技術でもある。
ゆえに問題は、演じることではない。問題は、もはやそこから自分で「降りることができない」ことだ。(本文より)
目次
STORY1
感じのいいあの人
はじめに
擬態に成功するほど消耗する
「できる」と「疲れる」のあいだの話
会社員時代、始発電車で出社していた理由
本書が本当に問いたいこと
「感じのよさ」には、コストがかかっている
なぜ、できる人ほど、疲れを言いにくいのか
本書の構成について
�機ゝ実屬犯莽�の現在地
1章 擬態がしんどい――「社交的陰キャ」とは何か
「社交」と「陰キャ」が同居することば
「いつも元気な人」はいない
単純な二分法からこぼれ落ちるもの
「社交的陰キャ」生みの親はいったい誰か?
「社交的陰キャ」チェックリスト
ドラマの主人公にも見える「社交的な陰キャ」
私自身にもある「根っからの人嫌い」
脱・二元論│人間の多面性、複雑性、意外性
他者は、あなたの「一場面」しか見ていない
「根暗」とは何が違うか
「陰キャ」隆盛
2章 なぜ社会は「感じよくつながる人」を求めるのか
――コミュ力・自己発信・本当の自分
つながれ、発信せよ、それでいて自然体でいよ
「コミュ力至上主義」はどう生まれたか?
戦前〜戦後初期(〜1950年代)/1980年代(高度経済成長期後の安定期、バブル期)
1990年まで(バブル崩壊・就職氷河期)/2000年代(経済低迷期・格差問題・インターネット時代)
2010年代(経済低迷期・格差問題・スマホ時代)/2020年代(経済低迷期・格差問題・インフルエンサー時代)
人生100年時代、大事なのは「コミュ力」?
学校で始まる擬態│「いい子」はすでに演じている
内心はさておき、「態度」で採点される地獄
企業が求める人物像の変遷
社会から個人へ│要求はふくらみ続ける
外面を整えた? 次は内面も差し出せ
難易度が上がり続ける「自己発信」
「表現の自由」から「表現の義務」へ
一億総自己発信社会の疲れ
自己発信と企業が求める人物像の変遷
「暗さ」が忌み嫌われる時代の始まり
どうにか送れている社会人生活
誰もが職場で「演じている」
「オーセンティック・リーダーシップ」と本当の自分
「本当の自分」のさらなる擬態
一億総感情労働社会
感情労働は24時間に
女性に偏る「感じのよさ労働」
「いい雰囲気」のなかにある誰かの犠牲
3章 能力観と労働観
――なぜ疲れている人ほど「自分の能力不足だ」と思わされるのか
「優秀」という名の小さな小舟
■危険な言説1■
能力の高い個人が組織・社会をつくっている
「うまくやる力」があればいいのに
「察しろ」は指示ではない、丸投げである
「察する」を求めることは組織の怠慢
組織開発は「察しなくていい」組織づくり
職務要件とキャラと相性
無口なネイリストは「不適性」なのか
相性と「甘え」
■危険な言説2■
「好きを仕事に」
経営者なら24時間365日働いて当然だよね?
好きを仕事にしなくても、「好きなことで生きていく」ことはできる
STORY 2
私は消費されているのか
�供〆F�からできる生存戦略
4章 なぜ「できるのに疲れる」は見えないのか
なぜ「できるのに疲れる」は見えないのか
「できる/できない」の二分法を疑う
「できるけど」の先にあるもの
擬態が成功するほど「支援」は消えていく
会議中、ある人は議題を追い、ある人は「会議を生き延びている」
「できるけど」の「できる」を区分けする
�―猗�過多型の「できる」――膨大な脳内リハーサルの代償
��反動型の「できる」――帰宅した途端に電池が切れる人
�I囘拈�限型の「できる」――単発ならできるが、毎日は無理
�ち蠎螳預厳燭痢屬任�る」――能力ではなく「関係性」で変わる出力
�ゴ超�依存型の「できる」――「条件」が整えばパフォーマンスは出る
�Υ道襪弔�の「できる」――終わらないセルフモニタリングの疲弊
社会は「できる」部分しか見ない
適応している人ほど、見えなくなる
「問題のない人」として軽く受け流される人
ある日突然、出社できなくなる
5章 しかし、擬態は「悪」ではない
必要なのは「演じる」ことの再定義だ
やめるのではなく、取り戻す
擬態には「種類」がある
�〔世襪気竜実屹�暗くなることが許されない疲弊
�⊆臑寮�の擬態│流されたい日も前向きに加工する
�G柴世竜実屹�短期的には場を進め、長期的には組織を殺す
�ぁ屬悗辰舛磴蕁廚竜実屹�痛みの輪郭さえ消してしまう生存戦略
�ァ嵋榲�の自分」の擬態│「ありのまま」さえ演出になる現代の罠
いつも一貫することが正しい?
6章 生存のための「脱・期待」戦略――演じ方・降り方・ずらし方
消耗しないための「棚卸し」と「回復」
方法1 「演じる場面」と「演じなくていい場面」を分ける
方法2 「回復する時間」を予定に入れる
方法3 「感じよくしない自由」を少しずつ試す
方法4 長年やってきた擬態は、自分を守ってきた「技」でもある
場面別「ずらす」技法
世間の要求からしなやかに身を守る
�‘�常生活で
「自己開示」はいつもしなきゃいけないわけじゃない
「自分のキャラ」は常に一貫してなくていい
本心、本音、には気をつけろ
��学校・職場で
みんなは嫌がるけれど人よりちょっと楽にできること
逆に「私がやらなくてもいい仕事」は何か?
〈評価軸は多元的に〉
〈良し悪しではなく、相性で考える〉
��SNS・オンラインで
「見せる範囲」をコントロールする
承認を分散させる
誰とでも仲良くする・つながることを目指さない
そもそも要求水準が高すぎる
あまりにパーフェクトな理想の人物像
無理です……求める5つの要素
高すぎる期待、「万能型人材」なんてどこに?
抵抗のための実践チェックリスト
抵抗のための「ずらし」の3秘策――過剰適応のループから抜け出す
� 峙嫩イ螢屮薀鵐妊�ング」ずらし法
�◆崕乎津�ラベリング」ずらし法
��「AI・デジタルを使った」ずらし法
7章 組織はどう変われるのか――社交性を過剰評価しない仕組みとは
組織で、具体的に「何」ができるか
1.発言量を能力と混同しない
察しのいい人に頼りきる職場の不備
ケアや調整という「見えにくい貢献」の搾取
2.雑談力を仕事力と混同しすぎない
3.仕事の役割と人格を分ける
4.断ることを能力不足と見なさない 5.1on1を本音回収装置にしない
注意が必要な「心理的安全性」
反対意見を傷つかないように言う、ではなく
STORY 3
変わったような、変わらないような
おわりにーーたのしくずらす未来
できるけど疲れる、は変化のきざし
著者プロフィール
勅使川原 真衣 (テシガワラ マイ) (著)
1982年、横浜市生まれ。東京大学大学院教育学研究科修了。外資コンサルティングファーム勤務を経て組織開発コンサルタントとして独立。個人の能力でなく「関係性」という切り口から、組織をより良くする提案を行う。2児の母。2020年から進行乳がん闘病中。デビュー作は『「能力」の生きづらさをほぐす』(どく社、2022年、紀伊國屋書じんぶん大賞第8位受賞)。その後『働くということ』(集英社新書、2024年、新書大賞2025にて第5位入賞/HRアワード2025書籍部門入賞)、『職場で傷つく』(大和書房)ほか著書多数。近著に『組織の違和感』(ダイヤモンド社)、『「頭がいい」とは何か』(祥伝社新書)、『「対話」がやってきた』(ホーム社/集英社)、『人生は逆算できるのか』(ちくまプリマー)、『ハラスメント最終報告』(晶文社)がある。新聞(本よみうり堂)や雑誌(論壇誌Voice)にて連載中のほか、文化放送武田砂鉄ラジオマガジン水曜前半パートナーとしても発信している。
発行:大和書房
仕様:四六判 280ページ
発売日:2026年10月21日