商品説明
ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力
帚木 蓬生 /朝日新聞社
どうしようもない状況のなか、性急に証明や理由を求めずに、不確実さ、不思議さ、懐疑のなかに留まる能力。臨床40年の精神科医が、医療・教育・介護の分野で注目されてきたこの能力について実例を上げ、詩人・キーツ、シェイクスピア、紫式部を援用しつつ丁寧に分析していきます。
2017年発売の本ですが、当時よりも一層ネガティブ・ケイパビリティが求められる時代になりつつあるように思います。
「ネガティブ・ケイパビリティの概念を知っているのと知らないのでは、人生の生きやすさが天と地ほども違ってきます。なぜなら、世の中にはポジティブ・ケイパビリティに対する信仰ばかりがはびこっているからです。」
ーーー朝日新聞社 紹介文ーーー
多くの受賞歴をもつ小説家であり、臨床40年の精神科医が悩める現代人に最も必要と考えるのは「共感する」ことだ。この共感が成熟する過程で伴走し、容易に答えの出ない事態に耐えうる能力がネガティブ・ケイパビリティである。
古くは詩人のキーツがシェイクスピアに備わっていると発見した「負の力」は、第二次世界大戦に従軍した精神科医ビオンにより再発見され、著者の臨床の現場で腑に落ちる治療を支えている。昨今は教育、医療、介護の現場でも注目されている。セラピー犬の「心くん」の分かる仕組みからマニュアルに慣れた脳の限界、現代教育で重視されるポジティブ・ケイパビリティの偏り、希望する脳とプラセボ効果との関係……せっかちな見せかけの解決ではなく、共感の土台にある負の力がひらく、発展的な深い理解へ。
発売:朝日新聞社
シリーズ:朝日選書958
仕様:四六判並製 264ページ
発売日:2017年4月10日