傷を愛せるか 増補新版

傷を愛せるか 増補新版
宮地尚子
ちくま文庫

「傷を愛することはむずかしい。傷は醜い。傷はみじめである。直視できなくてもいい。ときには目を背け、見えないふりをしてもいい。隠してもいい。(中略)ただ、傷をなかったことには、しないでいたい。」

トラウマ学の専門家がに個人的な日々のなかから、自分の心を確かめるように思いを綴ったエッセイ集です。弱さとともにあるということ。傷とともに生きていくということ。少しづつゆっくりと読み進めたくなる、心に沁みる1冊です。

ー−−筑摩書房 紹介文ー−−

どれほど医療が進んでも、傷ついた心を癒す薬はない。悲痛に満ちた被害者の回復には何が必要か。臨床医による深く沁みとおるエッセイ。解説 天童荒太

たとえ癒しがたい哀しみを抱えていても、傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷の周りをそっとなぞること。過去の傷から逃れられないとしても、好奇の目からは隠し、それでも恥じずに、傷とともにその後を生きつづけること──。バリ島の寺院で、ブエノスアイレスの郊外で、冬の金沢で。旅のなかで思索をめぐらせた、トラウマ研究の第一人者による深く沁みとおるエッセイ。

解説 天童荒太

【目次】

機‘發覆覲ぁ内なる空
なにもできなくても  
〇(エン)=縁なるもの 
モレノの教会 
水の中  
内なる海  
泡盛の瓶  
だれかが自分のために祈ってくれるということ  
予言・約束・夢  

供.ロスする感性――米国滞在記+α 二〇〇七―二〇〇八
開くこと、閉じること  
競争と幸せ  
ブルーオーシャンと寒村の海  
冬の受難と楽しみ  
宿命論と因果論  
ホスピタリティと感情労働 
右も左もわからない人たち  
弱さを抱えたままの強さ
女らしさと男らしさ  
動物と人間  
見えるものと見えないもの  
捨てるものと残すもの  
ソウル・ファミリー、魂の家族  
人生の軌跡  

掘ゝ憶の淵から
父と蛇
母が人質になったこと  
母を見送る  
溺れそうな気持ち  
本当の非日常の話  
張りつく薄い寂しさ

検―のある風景
傷を愛せるか  
あとがき  
文庫版あとがき  
解説 切実な告白と祈り 天童荒太  
初出一覧  
エピグラフ・出典

著者プロフィール
宮地 尚子 (ミヤジ ナオコ) (著/文)
宮地尚子(みやじ・なおこ)一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は文化精神医学・医療人類学。精神科の医師として臨床をおこないつつ、トラウマやジェンダーの研究をつづけている。1986年京都府立医科大学卒業。1993年同大学院修了。主な著書に『トラウマ』(岩波新書)、『ははがうまれる』(福音館書店)、『環状島=トラウマの地政学』(みすず書房)がある。

発行:筑摩書房
シリーズ:ちくま文庫
仕様:文庫判 240ページ
発売日:2022年9月12
販売価格 792円(税72円)
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