三ノ池植物園標本室

三ノ池植物園標本室(上巻 眠る草原/下巻 睡蓮の椅子)
ほしおさなえ
ちくま文庫

「世界には、さびしいときにしかわからないうつくしさというものがあるのよね。街灯が作る光の輪とか、空き地に落ちている錆びたスプーンとか。満たされているときにはなんでもないそういうものが、すうっと心にしみこんでくる」

疲弊する職場を辞め、偶然に出会った空き家に導かれるように住むことに決めた風里。そこで知り合った人との交流や、好きだった刺繍に再開することで、風里は少しづつ人生を歩みだす。だが、その空き家に関する悲しい事件の影が風里の人生を大きく動かすことに…。

風里以外にも重要な登場人物が何人もいて、それぞれの人生が切実に描かれます。空き家の過去と夢の世界がつながるファンタジー要素も持つなど、幻想的な世界を秘めた長編小説です。

単行本『恩寵』を大幅に加筆修正した文庫化。『恩寵』は大好きな小説だったので、ボリュームアップして読めるのが嬉しく、さらにカシワイさんの装画という至福。

装画 カシワイ

ー−筑摩書房 紹介文ー−−

【上巻 眠る草原】

植物の刺繍に長けた風里が越してきた古い一軒家。その庭の井戸には芸術家たちの悲恋の記憶が眠っていた――。『恩寵』完全版を改題、待望の文庫化!

職場で心身をすり減らし、会社を辞めた風里。散策の途中、偶然古い一軒家を見つけ、導かれるようにそこに住むことになる。近くの三ノ池植物園標本室でバイトをはじめ、植物の標本を作りながら、苫教授と院生たち、イラストレーターの日下さんや編集者の並木さんなど、風変わりだが温かな人々と触れ合う中で、刺繍という自分の道を歩みだしていく―。

三ノ池植物園標本室 上 眠る草原
シリーズ:ちくま文庫
仕様:文庫版 272ページ
発売日:2018年12月10日

【下巻 睡蓮の椅子】

井戸に眠る因縁に閉じ込められた陶芸家の日下さんを、彼に心を寄せる風里は光さす世界へと取り戻せるか。『恩寵』完全版、感動の大団円。解説 東直子

風里が暮らす古い一軒家には悲しい記憶が眠っていた。高名な書家・村上紀重とその娘・葉、葉と恋仲になる若き天才建築家・古澤響、過去の出来事が浮かびあがるうち、風里にも新たな試練が。風里は人々の想いをほどき、試練を乗り越えることができるのか―。

発行:筑摩書房
シリーズ:ちくま文庫
仕様:文庫版 320ページ
発売日:2018年12月10日

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著者について
ほしおさなえ(ホシオサナエ)

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。
上巻 眠る草原
下巻 睡蓮の椅子
販売価格 748円(税68円)〜836円(税76円)
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